【特集 酸素の生体作用―基礎研究から応用医学までの新機軸―】
序文
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.22 No.3 12,
2014
著者名
木田 厚瑞
記事体裁
抄録
疾患領域
呼吸器
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
/
老年科
/
小児科
媒体
THE LUNG perspectives
酸素を作り出す微生物が地球上に出現したのは35億年前であり, 酸素濃度が高くなるにつれ複雑な細胞が出現してきた. 大気中の酸素濃度は20億年前には0.21%に過ぎなかったが, 3億5,000万年前には石炭紀の豊かな森のおかげで, 一時的に35%まで上がった. 2億年前, 現在の約21%に安定してきたが単細胞バクテリア(原核生物)から多細胞生物に至る全ての生命体の代謝過程での, 酸素の役割は複雑な遺伝情報として刻みこまれている1). 呼吸生理学の発展史で英国のJoseph Priestley(1733~1804)が果たした役割は燦然としている. Westは最近の論文で彼の生涯を詳しく紹介している2). 実験的に最初に酸素を作成したのはKarl Wilhelm Scheele(1742~1786)であったが, 出版会社の手落ちで発表が遅れた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。