【特集 非結核性抗酸菌症の進歩】
非結核性抗酸菌症研究のあゆみと疫学的動向
History of nontuberculous mycobacteriosis research and epidemiology of nontuverculous mycobacterisosis
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.22 No.1 17-25,
2014
著者名
倉島篤行
記事体裁
抄録
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
/
老年科
/
小児科
媒体
THE LUNG perspectives
「Summary」非結核性抗酸菌そのものは, 1882年のKochによる結核菌発見後しばらくして鳥型菌として認められたが, ヒトの疾患としての研究は1950年代からである. これらの研究にナイアシンテストの今野や国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班など, わが国研究者たちは多大な貢献をしてきたが, 今日わが国の非結核性抗酸菌症研究は第3の高揚期を迎えつつあると思われる. 国際的にも肺非結核性抗酸菌症の増加が注目されているが, わが国は世界で最も高い罹患率レベルにあり, 今後の解明の責務と期待を背負っている. 「I 非結核性抗酸菌発見の頃」ある事情で私の手元に, かつて国立療養所中部病院におられた束村道雄先生が書かれた未発表の原稿(図1)があり, そこにおそらく邦文としては最も詳記がみられている. それによれば, 「Mycobacterium avium (M.avium)という現在の菌種名はChesterによって1901年に命名されたが1), この菌を最初に発見したのはSternbergで, 1892年にBacillus tuberculosis gallinarum (鳥型結核菌)として発表され2), 1896年にLehmannとNeumannによりM.tuberculosis aviumとされ3), さらにChesterにより1901年にM.aviumと命名され今日に至っている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。