【特集 咳と痰のサイエンス】
基礎医学とのダイアローグ 慢性気道感染症と薬剤耐性菌
Chronic bronchial infection and drug-resistant bacteria
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.21 No.4 53-56,
2013
著者名
朝野 和典
記事体裁
抄録
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
/
老年科
/
小児科
媒体
THE LUNG perspectives
「Summary」慢性気道感染症患者の気道では, 緑膿菌をはじめとする薬剤耐性菌が菌体周囲にバイオフィルムを形成し, 持続感染を起こす. バイオフィルム菌は好中球の貪食から逃れ, 抗菌薬にも耐性となる. 緑膿菌のバイオフィルム産生は, 細菌同士がお互いに応答しあい, 菌の密度を知る定数感知(quorum sensing)機構によって制御されている. わが国ではマクロライド少量長期療法の発達により慢性気道感染症の患者は少なくなったが, 欧米では嚢胞性線維症(CF)患者が多く存在し, 緑膿菌による持続感染は呼吸機能の低下をもたらし, 予後を不良にするため, 感染予防や感染初期の治療についての臨床研究が進んでいる. 「I 慢性気道感染症における薬剤耐性菌の位置づけ」びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB)の経過中に定着する細菌は変遷することが観察され, 初期には肺炎球菌やインフルエンザ菌などの薬剤感受性の比較的強毒菌が分離されるが, 抗菌薬を使用するうちに弱毒で薬剤耐性の緑膿菌に菌交代を起こし, 持続感染となる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。