特集 呼吸器疾患の増悪を考える
Ⅰ 喘息 (1)増悪時の病態と診断
THE LUNG perspectives Vol.21 No.3, 33-36, 2013
「Summary」気管支喘息に対する治療薬として吸入ステロイド薬(ICS)が普及し, 本邦での喘息死亡率は顕著に減少している. 一方で喘息の有病率は減少傾向にはなく, 臨床の現場では急性増悪を経験する. 気管支喘息は気道の慢性炎症, 気道リモデリング, ならびに気道過敏性の亢進がその基本病態であり, アレルゲンの吸入などの増悪因子により急性増悪をきたす. 増悪因子のなかで最も頻度が多いのがウイルス感染に代表される呼吸器感染症である. 呼吸器ウイルス感染症は小児, 成人にかかわらず気道過敏性を亢進させ, 炎症性メディエーターの産生を亢進させることなどで喘息増悪を惹起する. 喘息増悪時は急激に発作的に起こることが多く診断は困難ではないことが多いが, 高齢の喘息患者ではCOPDの合併など鑑別疾患の除外が重要である. 「はじめに」気管支喘息は慢性持続性の気道炎症および気道過敏性の亢進を特徴とし, 環境因子や遺伝的素因などのさまざまな因子によりその病態が形成される.
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