<< 一覧に戻る

医療と哲学

第40回 倫理委員会と哲学者

堂囿俊彦

THE LUNG perspectives Vol.21 No.2, 74-76, 2013

医療従事者の方が哲学をしている人間と接する場面として, どのようなものが考えられるだろうか. まず挙げられるのが, 患者や患者の家族として出会う場面である. (しかしおそらくは, 哲学者として認識することはないだろう.) 次には, この文章を読んでいる「あなた」と私がいま接していると言えるなら, 書かれたものを通じて出会うこともありうる. (頻度は問わないにしても.) しかし近年, これらとは異なる仕方で, つまり患者としてではなくまさに哲学者として, しかも書物を通じてではなく面と向かって, 医療従事者が哲学者に出会う場面が増えつつある. その場とはすなわち, 倫理委員会である. 今回は, 倫理委員会に出没しはじめた(?)哲学者について―常日頃の戸惑いを整理するべく―述べてみたい. 今日, 「倫理委員会」という場が増えていることはおそらく間違いはない. 例えば, 日本医療機能評価機構による病院機能評価項目には, 「臨床倫理に関する課題を病院として検討する仕組み」がリストアップされ, 「臨床研究に関する倫理的な審査」が評価要素になっている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る