MEDICAL TOPICS
第46回 先天性筋ジストロフィー原因遺伝子産物LARGEの糖転移活性がジストログリカンにリガンド結合能を与える
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.21 No.2 68-73,
2013
著者名
稲森啓一郎
/
吉田-森口貴子
/
Kevin P.Campbell
記事体裁
抄録
疾患領域
神経疾患
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
小児科
媒体
THE LUNG perspectives
「Summary」αジストログリカンのO-マンノース型糖鎖の生合成異常は, ラミニンなどのリガンドとの結合能低下をもたらし, ジストログリカノパチーと総称される一連の筋ジストロフィーを引き起こす. 今回, LARGEの2つの糖転移活性とそれが作る2糖の繰り返しからなるリガンド結合性糖鎖の構造を明らかにした. 今後, LARGEを標的としたジストログリカノパチーの治療法の開発へとつながる可能性が期待される. 「歴史的背景」ジストログリカンは, 筋細胞の外部と内部とを連結するジストロフィン-糖タンパク質複合体の重要な構成タンパク質で, 細胞の表面に存在するαサブユニットと膜貫通型の構造をとるβサブユニットからなる. ジストログリカンは筋細胞膜の恒常性の維持, また中枢神経系においてその構造と機能の維持に重要な役割をもつ1). αジストログリカンは翻訳後修飾により糖鎖の高度な付加を受けており, なかでもO-マンノース型糖鎖はラミニンをはじめ, アグリン, ニューレキシンなどのラミニンG(laminin G; LG)ドメインを含む細胞外マトリックスリガンドとの結合に必要である2)3).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。