「Summary」特発性間質性肺炎に分類される疾患のなかで, 特発性肺線維症(IPF)は最も患者数が多く, 臨床上最も重要とみなされる疾患であろう. IPFは, 「成人に発症する原因不明で慢性進行性の, 通常型間質性肺炎(UIP)の病理組織所見を呈する肺線維化疾患」と理解されるが, その複雑な臨床経過と難治な病態から, 診断, 治療にも依然確立されたものがないのが現状である. そのような状況のなか, 2011年に国際合同委員会からIPFの診断と管理についての公式見解が発表された. 診断については高分解能CT(HRCT)所見と病理組織所見においてのUIPパターンがはっきりと示されたが, 治療に関しては推奨の域を超えて示されたものはない. 本稿では, この公式見解の内容をふまえながら, IPFの診断と治療に関する現在の考え方についての解説を行う.
「はじめに」びまん性肺疾患のなかで, 原因が不明であり, 膠原病など関連する疾患も存在せず, サルコイドーシスや好酸球性肺炎などの他のびまん性肺疾患からも鑑別される一群を特発性間質性肺炎と称する.
「Key words」特発性肺線維症(IPF), 通常型間質性肺炎(UIP), ガイドライン, UIPパターン