「Summary」高齢者に多い呼吸器疾患として, COPDと誤嚥性肺炎がまず挙げられる. 治療上共通する留意点として, しばしばいくつかの併存症を有する点, ならびに治療コンプライアンスやアドヒアランスの問題がある. まず誤嚥性肺炎については若年者と比べ入院期間が長く, また合併症の治療などのための経費により全体に高額な診療報酬価となっている. その主体は抗菌薬治療などであるが, 現在厚生労働省で肺炎に適用されている診断群分類包括評価(DPC)において, 肺炎を一様に取り扱うのではなく, 細分類の必要があるように思われる. 次にCOPDでは吸入療法が治療上重要な地位を占めるが, 特にその優劣が治療効果に反映されるため, 高齢者では適切な吸入指導とともに吸入法の単純化として特に最近上梓された, あるいは開発中のLABA+LAMAの配合薬に期待するところが大きい. さらに合併症として骨粗鬆症と心血管疾患を取り上げ, その予防法と治療法について概説した. ときに心疾患についてはCOPDの予後を決める因子でもあるが, β遮断薬の使用基準や, スタチン系薬剤など新しい作用機序にも触れた.
「Key words」薬物療法, 高齢者, 誤嚥性肺炎, COPD, アドヒアランス, 骨粗鬆症, 心血管疾患
「Key words」薬物療法, 高齢者, 誤嚥性肺炎, COPD, アドヒアランス, 骨粗鬆症, 心血管疾患