Summary
急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)は敗血症,重症肺炎,外傷などの基礎病態に引き続いて惹起され,肺微小血管の広範な傷害による血管透過性亢進を特徴とする非心原性肺水腫である。ARDSでは肺血管攣縮や肺血栓塞栓,間質浮腫の結果,低酸素血症の程度と関係なく肺高血圧を認める。一酸化窒素吸入療法は肺血管を選択的に拡張して酸素化を改善するが,予後の改善は示されていない。ARDSでは組織因子を介して外因系凝固経路が活性化され,血栓形成の原因となるばかりでなく,protease-activated receptor(PAR)などを介して炎症を増強する。血液凝固制御因子である活性化プロテインCは敗血症に対して有効であったが,ARDSには有効性を示さなかった。また,播種性血管内凝固症候群(DIC)治療薬のトロンボモジュリンには抗炎症作用があり,ARDSでの有効性が期待される。
全文記事
呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩―
ARDS時の循環障害
Circulatory disorder in ARDS
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.19 No.4 54-58,
2011
著者名
田坂定智
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
THE LUNG perspectives
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