Summary
急性肺血栓塞栓症の治療の主眼は,抗凝固療法および線溶療法により,血栓溶解,肺血栓塞栓症の予防,再発防止を図ること,および急性右心不全やショックに対する呼吸循環動態の改善を図ることである。致死率からみた高リスク例(ショック例)では,未分画ヘパリンの投与に加え,血栓溶解療法を行う。低~中リスク例では,低分子量ヘパリン,間接型Xa阻害薬であるフォンダパリヌクスが第1選択となる。その後ワルファリンを併用し,切り替えていく。低分子量ヘパリンやフォンダパリヌクスは,APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)によるモニタリングを必要とせず,トロンビンや血小板に対する影響が少ない利点を有する。
経口の直接型トロンビン阻害薬ダビガトランや直接型Xa阻害薬のエドキサバン,rivaroxabanなどは,モニタリングが不要で,他剤との相互作用や食事制限がない利点を有し,ワルファリンに替わって,本症を含めた血栓症の予防や治療,実臨床で用いられつつある。
全文記事
呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩―
急性肺血栓塞栓症
Acute pulmonary thromboembolism
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.19 No.4 49-53,
2011
著者名
田邉信宏
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
THE LUNG perspectives
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。