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呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩―

肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症

Pulmonary hypertension owing to lung disease and/or hypoxia

一和多俊男清水谷尚宏

THE LUNG perspectives Vol.19 No.4, 40-44, 2011

Summary
 肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症(PH)は,WHOの機序に基づく5つの臨床分類でGroup3カテゴリーとされ,7つの疾患・病態が含まれる。呼吸器疾患におけるPHは,一般に緩徐に進行して肺性心へ進展する。呼吸器疾患を伴う場合にはmPAP>20mmHgでPHと診断され,肺血管床の減少や低酸素血性肺血管収縮(HPV)により生じる。肺機能障害から予測される以上に呼吸困難が高度である場合や,右心不全徴候の存在する場合にPHが示唆される。薬物療法としては,利尿剤・ジゴキシン・テオフィリンと交感神経刺激薬・抗凝固薬・血管拡張薬などがあるが,近年,特発性PHなどに対してエンドセリン受容体拮抗薬・ホスホジエスレラーゼ阻害薬,プロスタサイクリンなど血管拡張薬が使用されているが,これら薬剤は呼吸器疾患におけるPHに対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)において承認されていない。

Key words
肺性心,肺血管床減少,低酸素血性肺血管収縮,COPD,間質性肺炎

はじめに

 肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症(pulmonary hypertension;PH)は,WHOの機序に基づく5つの臨床分類1)でGroup3カテゴリーとされ,Group3には以下の7つの疾患・病態が含まれている。
①慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)
②間質性肺疾患(interstitial lung disease;ILD)
③混合性(拘束性・閉塞性)換気障害をきたす他の肺疾患(other pulmonary diseases with a mixed restrictive and obstructive pattern)
④睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing;SDB)
⑤肺胞低換気障害(alveolar hypoventilation disorders)
⑥高地性慢性低酸素暴露(chronic exposure to high altitude)
⑦発育異常(developmental abnormalities)
 PHを合併する呼吸器疾患は,肺・換気障害(閉塞性換気障害・拘束性換気障害・呼吸中枢障害)により3つに分類され,各疾患の症候と診断に必要な諸検査を表1 2)に示す。

 臨床においては,PHを呈する疾患が合併することも多く,たとえば,COPDは左心系疾患・睡眠呼吸障害などを合併する。一般にCOPDによる慢性呼吸不全のPHは軽度~中等度であるが,前記疾患を合併するとPHが増悪するために予後は不良となる。
 本稿では,肺疾患および/または低酸素血症に伴うPHの機序,診断,疫学と治療を概説する。

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