Summary  左心性疾患は肺高血圧の原因として最も多く,特に左心不全が原因となっている場合が多い。左心不全には左室収縮機能の低下に基づくものと左室収縮機能の保持された心不全があるが,後者においても高率に肺高血圧を合併する。左心性疾患に伴う肺高血圧の機序は上昇した肺静脈圧が肺毛細管を介して肺動脈系に伝搬されることによる。左心性疾患に基づく肺高血圧は当初可逆的であるが進行すると肺血管系リモデリングをきたし不可逆的となる。肺静脈圧の上昇では説明できないほどの肺高血圧をきたしたものは“out of proportion”と呼ばれる。左心性疾患に基づく肺高血圧治療の原則はガイドラインに則った左心性疾患そのものに対する治療であるが,“out of proportion”症例では肺動脈拡張薬による治療の試みも最近なされている。