Summary
左心性疾患は肺高血圧の原因として最も多く,特に左心不全が原因となっている場合が多い。左心不全には左室収縮機能の低下に基づくものと左室収縮機能の保持された心不全があるが,後者においても高率に肺高血圧を合併する。左心性疾患に伴う肺高血圧の機序は上昇した肺静脈圧が肺毛細管を介して肺動脈系に伝搬されることによる。左心性疾患に基づく肺高血圧は当初可逆的であるが進行すると肺血管系リモデリングをきたし不可逆的となる。肺静脈圧の上昇では説明できないほどの肺高血圧をきたしたものは“out of proportion”と呼ばれる。左心性疾患に基づく肺高血圧治療の原則はガイドラインに則った左心性疾患そのものに対する治療であるが,“out of proportion”症例では肺動脈拡張薬による治療の試みも最近なされている。
全文記事
呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩―
左心性心疾患に伴う肺高血圧
Pulmonary hypertension due to left heart disease
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.19 No.4 35-39,
2011
著者名
百村伸一
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
THE LUNG perspectives
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。