Summary
肺には肺動脈系,気管支動脈系,肺リンパ系の3つの循環系があり,それぞれが栄養する組織や,内部構造などが異なっている。肺の血流量は循環血液量全体の10%程度といわれており,体循環系と比較して低圧であるという特徴がある。肺循環はガス交換の場であり,肺血管の拡張,収縮と酸素化に密接な関係があり,プロスタサイクリン(PGI2)や一酸化窒素(NO),エンドセリン(ET)などに影響を受ける。また,肺循環系は体循環系とは異なり,低酸素状態により平滑筋収縮が惹起される。低酸素状態によって肺胞気酸素分圧が低下すると,低酸素性血管攣縮が起こる。これは,体循環では低酸素に対して血管拡張をきたすこととは対照的で,肺血管に特異的な反応である。その機序には肺血管平滑筋のカリウムチャネルやCO2濃度,NOなどが関係している。
全文記事
呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩―
肺循環の生理と病理
Physiology and pathology of the pulmonary circulation
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.19 No.4 13-16,
2011
著者名
増渕裕朗
/
前野敏孝
/
倉林 正彦
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
THE LUNG perspectives
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。