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四半世紀を経たわが国の在宅酸素療法―課題と提言―

Pro and Con 息切れ改善に対する在宅酸素療法の効果―息切れを改善する立場から―

Effects of long oxygen therapy on shortness of breath ; Effective cases

朝井政治千住秀明

THE LUNG perspectives Vol.19 No.3, 49-53, 2011

Summary
 在宅酸素療法(HOT)の効果は,生存率の向上,生活の質(QOL)の向上,入院回数の減少などが報告されているが,息切れの軽減に対する効果については十分なエビデンスが構築されていない。これは息切れの原因が,呼吸仕事量の増加,低酸素血症・高炭酸ガス血症,脳の要求と呼吸筋の応答との間の乖離,physical deconditioning,換気制限,不均等換気による換気およびガス交換効率の低下,ガス交換の障害などが複雑に絡みあっているためである。酸素療法が息切れを改善する因子として考えられるものは,低酸素血症の改善(換気ドライブの低下,肺高血圧の解除),換気効率の改善(吸入気酸素濃度を高める),組織酸素分圧を高め,筋疲労,乳酸産生を改善する,三叉神経の物理的刺激,心理的プラセボ効果がある。特に低酸素血症によって生じた息切れに対しては,酸素療法が最もよい適応となる.しかし,病態によっては効果が得られない,もしくは酸素療法の実施がかえって害になる場合もあるため,導入検討症例における病態の正確な把握と効果の判定が重要である。

Key words
息切れ(呼吸困難),低酸素血症,酸素療法,COPD

はじめに

 在宅酸素療法(home oxygen therapy;HOT)の効果は生存率の向上,生活の質(quality of life;QOL)の向上,息切れの軽減,入院回数の減少などが報告されているが,息切れの軽減に対する効果については十分なエビデンスが構築されていない。本稿では,「在宅酸素療法は息切れを改善する」との視点から「息切れ(呼吸困難)に対する酸素療法の効果」を検討した。
 呼吸困難の発生機序は諸説あり,一定の知見はない。代表的な呼吸困難の発生機序(図1) 1)-3)は次の7項目で,これらが複雑に絡みあって呼吸困難が生じている。

1.呼吸仕事量の増加

 通常,脳幹の呼吸中枢により呼吸筋へ命令が送られて換気が調節されているが,気道抵抗の増加,呼吸筋の筋力低下によって呼吸筋の仕事量が増大すると呼吸困難が生じる。

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