Summary  在宅酸素療法(HOT)の効果は,生存率の向上,生活の質(QOL)の向上,入院回数の減少などが報告されているが,息切れの軽減に対する効果については十分なエビデンスが構築されていない。これは息切れの原因が,呼吸仕事量の増加,低酸素血症・高炭酸ガス血症,脳の要求と呼吸筋の応答との間の乖離,physical deconditioning,換気制限,不均等換気による換気およびガス交換効率の低下,ガス交換の障害などが複雑に絡みあっているためである。酸素療法が息切れを改善する因子として考えられるものは,低酸素血症の改善(換気ドライブの低下,肺高血圧の解除),換気効率の改善(吸入気酸素濃度を高める),組織酸素分圧を高め,筋疲労,乳酸産生を改善する,三叉神経の物理的刺激,心理的プラセボ効果がある。特に低酸素血症によって生じた息切れに対しては,酸素療法が最もよい適応となる.しかし,病態によっては効果が得られない,もしくは酸素療法の実施がかえって害になる場合もあるため,導入検討症例における病態の正確な把握と効果の判定が重要である。