はじめに  今回われわれは,間質性肺炎の急性増悪に矛盾しない画像所見を呈し,ステロイド薬と免疫抑制薬に反応を認めず,呼吸不全により死亡した1症例を経験した。剖検の結果,肺内に粘液産生性細気管支肺胞上皮癌[mucinous BAC(bronchioalveolar carcinoma)]の広範な進展が認められたが,画像所見が非典型的であったこと,繰り返し施行した細胞診にて癌が検出されなかったことから,死亡まで確定診断に至らなかった。臨床的示唆に富む症例と考えられるので,文献的考察を交えて提示する。