Lesch-Nyhan病(LND)は伴性遺伝形式を示す遺伝性疾患である。本症では,プリンサルベージ経路のhypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase(HGPRT)が欠損し,尿酸,ヒポキサンチン,キサンチンが蓄積し,自傷行為や不随意運動などさまざまな神経症状,高尿酸血症・痛風,腎障害が出現する。高尿酸血症はアロプリノールに代表されるキサンチンオキシダーゼ阻害薬によりコントロール可能であるが,キサンチンの蓄積による腎結石,ヒポキサンチンの蓄積による神経症状が生じる。全く新しい考えとして,purinenucleoside phosphorylase(PNP)阻害がある。PNPはプリンヌクレオシドを糖+リン酸と塩基に過リン酸分解する。著者らは,PNP阻害薬であるimmucillin-G(C1a)を用いて線維芽細細胞におけるプリンヌクレオチド分解経路の上流を阻害することにより尿酸,ヒポキサンチン,キサンチンの上昇抑制を試みた。