結晶誘発性関節炎は,臨床所見が多彩で鑑別診断を必須とする。鑑別診断の方法である補正偏光顕微鏡(CPLM)検査では,結晶を直線複屈折(LB)という物理量に基づいた定性的観察にて同定する方法である。われわれは,CPLMの簡便さを維持しながらも,LBの定量的手法へと改良することによって,CPLM検査の精度向上が期待できると考え,advanced-CPLM(A-CPLM)を開発した。開発したA-CPLMを用いて,痛風を誘発する尿酸塩(MSUM)結晶と偽痛風発作を誘発するピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶のLBを定量的に比較し,MSUM結晶とCPPD結晶のLBのスペクトルは大きく異なっていることを明らかにした。この明らかな違いがわかるA-CPLMは,結晶誘発性関節炎の診断における精度向上に繋がると期待できる。
「KEY WORDS」結晶誘発性関節炎,偏光顕微鏡,直線複屈折,尿酸,ピロリン酸カルシウム