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特集 尿酸,XORと内皮細胞障害

2.各論 8)脳血管障害と尿酸

中山昌明渡邉公雄宮崎真理子

高尿酸血症と痛風 Vol.26 No.1, 78-83, 2018

脳卒中の発症リスク因子には高尿酸血症がしばしば合併するが,現在までの観察研究ではこの尿酸が「脳卒中の初発ならびに再発リスクとなる可能性」が示唆されている。その一方で,血清尿酸高値が急性期虚血性脳卒中患者の予後良好を予測するバイオマーカーとなることも確認されている。尿酸の影響には疾病によっても違いがあり,心房細動例において高尿酸血症が左房内血栓形成と脳卒中発症リスクとなる可能性がある一方で,慢性腎臓病における尿酸の影響は明らかではない。このように尿酸の脳血管障害に対する影響は一様ではないが,これは,尿酸のもつ抗酸化能による血管保護と,尿酸によって惹起される血管障害の2つの相反する作用が影響しているためと考えられる。脳血管障害に対する尿酸の臨床的位置づけは病因的役割を含め重要な検討課題と考えられる。
「KEY WORDS」尿酸,脳卒中,急性期虚血性脳血管障害,心房細動,慢性腎臓病(CKD),脳血管性認知症

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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