高血圧における血管内皮細胞障害には,一酸化窒素(NO)や内皮由来過分極(EDH)などの内皮由来血管弛緩因子(EDRF)の関与に加えて,尿酸とキサンチン酸化還元酵素(XOR)の関与も考えられている。尿酸は,レニン・アンジオテンシン系の亢進・活性酸素産生増加などを介してNO活性を低下し,血管内皮機能障害,高血圧への関与が示唆されている。XORに関しては,血管内皮表面に存在しているXORが,高血圧の病態などでは活性酸素を産生し,血管内皮細胞障害を引き起こす機序が報告されている。血管内皮細胞障害は,動脈硬化の初期変化で,心血管病発症・進展にも関与している。高尿酸血症合併高血圧患者の治療においては,降圧による血圧管理に加え高尿酸血症の是正も必要で,血管内皮細胞保護効果を考えれば,尿酸降下薬としてはXOR阻害薬が推奨されるかもしれない。今後の検討が必要である。
「KEY WORDS」高血圧,内皮細胞障害,尿酸,XOR,内皮由来過分極,活性酸素