特集 尿酸,XORと内皮細胞障害
2.各論 3)糖尿病と血管内皮細胞障害
高尿酸血症と痛風 Vol.26 No.1, 48-52, 2018
糖尿病における血管内皮細胞障害は糖尿病血管合併症に先行して生じる。
糖尿病を発症して生じる高血糖が原因となり,糖化,AGE/RAGE系によるシグナル,ポリオール代謝活性化の3つの経路で酸化ストレスを生じ,血管内皮機能を障害する機序と,糖尿病発症の基盤となるインスリン抵抗性,あるいは慢性炎症状態を経由して血管内皮細胞障害をきたす機序が想定されている。
臨床的には,糖尿病状態では尿酸排泄は促進され血清尿酸値は比較的低値になるが,血清尿酸正常高値での糖尿病合併症リスクが明らかとなり,XOR活性が影響した可能性がある。血糖降下による合併症抑制の効果は明らかである一方,糖尿病治療に関連した糖尿病網膜症悪化も懸念され,血糖の変動が血管内皮機能に影響した可能性がある。
今後は血糖管理だけではなく,血管内皮機能,患者の予後を意識した介入が軸になり,尿酸も含めた集学的な治療が行われるであろう。
「KEY WORDS」糖化,AGE/RAGE,ポリオール代謝,インスリン抵抗性,酸化ストレス
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。