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特集 高尿酸血症・痛風治療薬の臨床薬理

3.各論 7)コルヒチン

益田郁子

高尿酸血症と痛風 Vol.25 No.2, 75-80, 2017

コルヒチンは何千年もの昔から痛風発作に使用されてきたが,最近までその薬理,安全性,抗炎症作用のメカニズムについて明らかでなかった。近年,痛風に伴う急性炎症の分子メカニズムについて理解が深まり,コルヒチンによる複数の経路を介した抗炎症経路についても光があたるようになった。コルヒチンはtubulinと結合することで微小管形成を阻害する。結晶誘発性の自然免疫による炎症をコルヒチンが抑制することでサイトカイン放出や好中球遊走を抑制し発作を頓挫させる。頻発する痛風発作予防目的での少量投与や,発作時の少量投与が認められているが,コルヒチンの治療域は狭く,消化器症状や骨髄障害,筋・神経障害などの副作用がある。また,多くの薬剤との相互作用があり高齢者・肝障害・腎障害のある患者は重篤な副作用を起こすリスクに注意が必要である。結晶性関節炎だけでなく,他の自然免疫を介する炎症性疾患への臨床応用が試みられている。
「KEY WORDS」コルヒチン,自然免疫,痛風発作,抗炎症作用,薬剤相互作用

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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