健常成人において安静下に血清尿酸値と筋量・筋力の間に正相関が報告されている。このことは,骨格筋による尿酸産生は,血清尿酸値の一部を規定している可能性を示唆する。また,強い筋力と良好な生命予後に関連性が知られ,生体保護的な尿酸の抗酸化作用の関与が示唆される。また,無酸素運動に伴う嫌気性解糖による筋原性高尿酸血症の機序は,激しい運動時に限らず糖尿病や高血圧などのcommon diseaseにおいても関与している可能性が示唆されている。一方,筋量の減少するサルコペニアは,高い尿酸レベルと相関することが報告され,筋肉における尿酸代謝は一律には説明されない。筋肉運動後の腎性低尿酸血症には高頻度に急性腎不全の合併が知られ,腎臓における尿酸輸送機構の解明が進んでいる。腎不全の機序としては,低尿酸血症に伴う抗酸化作用減弱による腎組織障害が考えられている。
筋肉に関連した尿酸代謝は,今後もさらに基礎的・臨床的な解明が必要である。
「key words」筋肉,尿酸値,運動,筋原性高尿酸血症,生命予後,高血圧・心不全