特集 高尿酸血症ガイドラインの今後の動向
4.無症候性高尿酸血症の治療 5)心疾患の合併について
Complication of heart disease
高尿酸血症と痛風 Vol.24 No.1, 65-71, 2016
「Summary」尿酸と心血管疾患の関連では,これまでの疫学研究で血清尿酸値の高値が心血管疾患の発症と関連することが報告されている。尿酸による心血管障害の機序として近年,尿酸トランスポーターの関与が注目されている。尿酸と心不全の関連では,慢性心不全には高尿酸血症が高頻度に合併し,その機序として末梢循環不全を介した尿酸排泄低下や活性酸素を介した尿酸産生過剰,さらにインスリン抵抗性の関与が考えられている。近年報告された研究では合併する高尿酸血症に治療介入することが心不全の予後を改善するかどうか,効果は一定していない。尿酸と心房細動の関連では,高尿酸血症患者は心房細動発症の予測因子であることが報告されている。その機序の1つとして心房筋に発現している尿酸トランスポーターを介したイオンチャネルのリモデリングの関与が示唆されている。高尿酸血症に対する治療は6-7-8ルールを用いる。J-カーブ現象も考慮し血清尿酸値を5~6mg/dLの範囲でコントロールすることが望ましい。
「Key Words」尿酸トランスポーター,活性酸素,XO阻害薬,URAT1/URATv1阻害薬
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