特集 尿酸の功罪
【各論】1.神経系 2)脳血管障害
Cerebrovascular disease
高尿酸血症と痛風 Vol.23 No.2, 37-40, 2015
「Summary」高尿酸血症は動脈硬化の進展に寄与しており,脳血管障害の発症のみならず,心房細動さらに心原性脳塞栓症発症との関連が明らかになりつつある。尿酸高値は脳血管障害発症後の予後予測因子としても近年注目されているが,いまだ一定の見解は得られていない。尿酸の抗酸化作用に期待し,超急性期脳血管障害における血栓溶解療法時に尿酸を投与するという臨床研究も行われたが,機能予後に差を認めなかった。尿酸値と脳血管障害との関連は未知の部分も多く,今後の研究成果が待たれる。
「はじめに」高尿酸血症と高血圧,心血管疾患との関連は多くの疫学的研究から広く知られている。しかし,血清尿酸値が高いことが心血管疾患を引き起こし,進展させる独立した危険因子であるのか,もしくは高血圧,肥満,インスリン抵抗性や脂質異常症などの他の危険因子の存在を反映するだけなのか,いまだ定説はない。本稿では尿酸と脳血管障害の関係について過去の報告を紹介し,今後の展望を概説したい。
「Key Words」脳血管障害,危険因子,予後予測因子,超急性期
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