「Summary」飽食といわれる現代社会において,痛風関節炎をはじめとした生活習慣病は深刻な社会問題となっており,その発症要因の解明と治療法の開発は重要な課題である。過栄養摂取により体内に生じた代謝物は,NLRP3インフラマソームと呼ばれる自然免疫機構を活性化し,痛風関節炎や糖尿病の発症を促進する。NLRP3インフラマソームの活性を適切なレベルに制御することにより生活習慣病の発症を予防し,また症状を緩和できる可能性があるため,多くの自然免疫研究者がNLRP3インフラマソームに関する研究に取り組んでいる。本稿では,近年筆者らが明らかにした新規NLRP3インフラマソーム活性化経路を中心に,尿酸塩結晶による炎症惹起の分子機序について解説したい。
「Key Words」尿酸塩結晶,痛風関節炎,NLRP3インフラマソーム,微小管,アセチル化