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特集 フレイル・サルコペニアと排尿障害

特集に寄せて

横山修

排尿障害プラクティス Vol.30 No.2, 13, 2023

わが国では超高齢社会を迎え要支援・要介護を必要とする高齢者が急増し,医療経済学的にも大きな社会問題となっています。健康な状態と要介護状態の中間を指す「フレイル」は,「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し,生活機能障害,要介護状態,死亡などの転帰に陥りやすい状態」と定義され,やがて要介護状態を経て死を迎えます。また,サルコペニアの定義については種々の変遷を経ていますが,「進行性・全身性の骨格筋量減少に加えて筋力低下もしくは身体的機能低下を認める」疾患と定義され(診断基準の詳細については荒井秀典先生の稿をご参照ください),両者は重複する部分のある病態です。一方で,要介護になる原因は,2019年の時点で認知症,脳血管疾患,骨折・転倒,高齢による衰弱となっていて,その原因のすべてに下部尿路機能障害,すなわち排尿障害が関わっていると考えられます。したがって,フレイル・サルコペニアが要介護に移行する際に排尿障害は避けては通れない「関門」,「難題」となっています。実際,フレイルに排尿障害が合併しやすいという疫学調査の報告も近年増加しています。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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