特集 低活動膀胱(UAB)の最前線
UABの疫学
排尿障害プラクティス Vol.27 No.2, 22-28, 2019
低活動膀胱(underactive bladder;UAB)の病態は明らかになっておらず,いまだ検討は十分に進んでいない。2002年に国際禁制学会によりその定義が提唱されたものの,広く受け入れられた定義はみられない。現在までに報告されている疫学研究の多くは,地域在住高齢者に対するものである。すなわち,確認できる罹患率のデータは,限定された尿流動態検査の結果を一般人口に当てはめているに過ぎない。UABは診断基準が明らかでないために有病率も明白ではないが,さまざまな尿流動態検査のパラメータを組み合わせた定義に基づき,男女ともに有病率は10~45%程度と報告され,加齢にともない罹患率は上昇する。UABは将来的に,症状症候群として,臨床現場において侵襲的な検査を行わずに診断・治療が可能となる可能性があり,早期の臨床的なUABの定義の確立が望まれる。本稿がその助けとなれば幸いである。
「KEY WORDS」低活動膀胱,排尿筋低活動,疫学,高齢社会,尿流動態検査
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