学会賞 受賞演題・論文解説 第25回 日本排尿機能学会賞
臨床研究 ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除出後の尿禁制回復に対する,経会陰超音波画像を用いた術前骨盤底リハビリテーションの有効性検証
排尿障害プラクティス Vol.27 No.1, 75-76, 2019
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(robotic-assisted radical prostatectomy;RARP)を受ける男性のほぼ全員が,術後に尿失禁を経験しますが,約9割は術後1年以内に尿禁制は回復します(尿失禁がなくなります)。骨盤底リハビリテーション(以下,骨盤底リハ)は,RARP後尿失禁の期間を短縮することへの効果があるとされています。しかし,手術による形態的変化や神経障害が生じた後に骨盤底筋を収縮させることは難しく,さまざまなアプローチにより収縮方法の指導が試みられてきましたが,治癒までの期間をどれだけ短縮できるのか,その効果には明確な答えは出ていません。
そこで私たちは,骨盤底筋収縮による尿道閉鎖を描出すれば,効果的に尿道を閉鎖できる動かし方を教示でき,それによって正しい骨盤底筋の収縮ができれば,尿失禁での病悩期間の短縮が可能ではないかと考え,経会陰超音波(trans perineal ultra sound;TPUS)画像(図)を用いたバイオフィードバック法を開発しました。また,RARPによって尿道閉鎖機構が障害される前(術前)に,この方法で筋収縮の指導をすることで,より効率的に収縮感覚を認識できる可能性があることから,術前からの骨盤底リハを行うことにしました。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。