過度のストレス曝露(不安を感じたり,緊張したとき)により頻尿,つまり排尿反射の亢進が起きることが知られていますが,その詳細な発症機構は明らかになっていません。これまで我々は,ストレス反応性脳内神経ペプチドであるアンジオテンシンⅡ(Ang Ⅱ)が脳内Ang Ⅱタイプ1(AT1)受容体を介し,排尿反射亢進を惹起することを動物実験にて明らかにしました1)。本研究では,脳内GABA神経系ならびにAT1受容体下流シグナル分子〔phospholipase C(PLC)/protein kinase C(PKC)/NADPH oxidase/superoxide anion〕に着目し,脳内Ang Ⅱによる排尿反射亢進の分子機構解明を行いました。さらに,中枢移行性のあるAT1受容体遮断薬テルミサルタンが,脳内AT1受容体を標的として脳内Ang Ⅱに起因する排尿反射亢進を抑制しうるか検討しました。