特集 歩行障害・認知症をともなうLUTSの診方
【歩行障害・認知症とLUTS】アルツハイマー病・レビー小体型認知症とLUTS
排尿障害プラクティス Vol.26 No.1, 46-53, 2018
認知症の原因には,本稿で取り上げるアルツハイマー病,レビー小体型認知症や血管性認知症がある。各タイプによって下部尿路症状(lower urinary tract symptoms;LUTS)の出現時期は異なっているが,多くの場合,切迫性尿失禁と機能性尿失禁の両方が出現する。近年の機能的脳画像の進歩によって,その病態は解明されてきている。その治療法は,安易な薬物治療は慎むべきであるが,切迫性尿失禁であれば抗コリン薬やβ3受容体刺激薬の投与を検討し,機能性尿失禁に対しては排尿誘導や環境整備が中心となる。特に機能性尿失禁の対応には,個別に精神面に配慮することが大切である。認知症患者のLUTSに対する診断・治療は,看護介護スタッフの根気強い関わりが不可欠であり,医師の熱意とスタッフのレベル向上なくしては成し得ない。
「KEY WORDS」認知症,アルツハイマー病,レビー小体型認知症,LUTS,高齢化
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。