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学会賞 受賞演題・論文解説 第23回日本排尿機能学会賞

基礎部門 前立腺筋線維芽細胞の経時的変化からみた前立腺肥大症発症メカニズムの解明

秦淳也

排尿障害プラクティス Vol.25 No.1, 83-85, 2017

前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia;BPH)は進行すると,組織の線維化が進むことが知られています。また,前立腺の線維化は,α1遮断薬による効果と負の相関を示すことも報告されています1)。つまり,線維化をともなう前立腺は内服治療に抵抗性となり,手術加療にまで至ることが多いと考えられます。この線維化過程を治療標的とすることができれば,臨床的にも有用であると考えられます。
一般的に,組織の線維化については,筋線維芽細胞の関与がいわれています。筋線維芽細胞は,α-SMA,vimentinを発現し,平滑筋の特徴を併せ持つ細胞であり,増殖因子や細胞外基質を産生して線維化に働きます。筋線維芽細胞は,線維芽細胞がTGF-β1やIGFBP3により刺激されることで分化します。前立腺については,in vitroでの研究は進んでいますが,生体内での筋線維芽細胞の動向,線維化メカニズムの詳細は不明な点が多いのが現状です2)
そこで今回,モデルラットおよびヒト前立腺組織を用いて,BPH成立過程における筋線維芽細胞の質的,量的変化を評価することで,前立腺の線維化のメカニズムについて考察することを目的として本研究を行いました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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