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特集 Male LUTSの薬物治療

5α還元酵素阻害薬の位置づけ―長期効果が期待できない患者像は?

松川宜久後藤百万

排尿障害プラクティス Vol.24 No.2, 36-42, 2016

5α還元酵素阻害薬(5ARI)の登場により,前立腺肥大症に対する薬物治療の幅が広がり,特にこれまで外科的治療などに移行していた大きな前立腺症例なども薬物治療の効果が期待できるようになった。しかしながら,その一方で,5ARIが投与される約30%の症例では,自覚症状の改善が不十分との報告もあり,これらの症例に対して長期薬物治療を継続することは,治療満足度が得られないだけでなく,費用対効果の面でも避けるべきである。それでは,治療前に薬物治療の効果を予測する因子は存在するのか。今回の検討では,従来から治療予測因子として報告されている治療前の自覚症状重症度や前立腺体積,残尿量に比べて,前立腺の膀胱への突出度(intravesical prostatic protrusion ; IPP)が治療効果を予測するより鋭敏な因子であると考えられた。IPPは治療前に簡便に測定することができるため,日常診療において前立腺肥大症の薬物治療の効果判定予測を行ううえで有用であり,IPPが長い症例では早期から手術治療を考慮することが必要と考えられた。
「KEY WORDS」治療効果予測因子,前立腺肥大症,5α還元酵素阻害薬,前立腺膀胱突出度(IPP)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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