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特集 認知症と排尿障害

病態の解説とウロダイナミクス(3)かくれ脳梗塞(高齢者の白質病変)

榊原隆次

排尿障害プラクティス Vol.22 No.3, 19-24, 2014

高齢者の大脳白質変化(WMD)が近年,脳ドックの普及などにより広く注目されている.脳MRI画像では,55歳以上一般人口の約10%に認められ,高齢者に多く,脳卒中と同様に動脈硬化の危険因子を有する者に多い.病理では,虚血に伴う脱髄が認められる.WMDはこれまで「かくれ脳梗塞」,無症候性脳梗塞と呼ばれることが多かった.一方,WMDを有する高齢者では,(脳)血管性認知症,(脳)血管性パーキンソン症候群とともに,(脳)血管性尿失禁がしばしばみられ,尿失禁にはさらに過活動膀胱(OAB)が先行することが多い.逆に,高齢者OABの原因としてWMDが注目されるように思われる.WMDの詳細な病理報告や脳血流検査では,特に前頭葉の病変が目立っており,これが排尿筋過活動(DO)の一因と考えられる.WMDのDOは,軽度の前頭葉性遂行障害と並行することが最近報告された.WMDを有する高齢者のOABに対して,血液脳関門を通過しにくい抗コリン薬などを,譫妄などの発生に注意しながら投与するとよいと思われる.
「Key Words」白質変化,かくれ脳梗塞,血管性尿失禁,前頭葉,過活動膀胱

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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