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特集 女性下部尿路症状診療ガイドライン

治療(3)手術療法

巴ひかる

排尿障害プラクティス Vol.22 No.2, 51-57, 2014

腹圧性尿失禁(SUI)に対する手術療法として, tension-free vaginal tape(TVT)手術やtransobturator tape(TOT)手術が標準術式であり, ともに短期の客観的成功率は80~90%で, 主観的成功率も高い. 『女性下部尿路症状診療ガイドライン』でも, ともに推奨グレードAとされている. 一部の尿道括約筋不全(ISD)症例ではTVT手術のほうが若干成績がよいとされる一方で, ごくまれに重大な合併症が起こりうる. 両術式は中部尿道スリング手術(MUS)であり, 他にsingle-incision mini-sling(SIMS)手術があるが, 大規模なRCTや長期成績がなく, またわが国では未承認であり, 推奨グレードは保留である. ISD症例に尿道周囲注入術は必須であるが, わが国に承認された注入物質はない.
「はじめに」2013年11月, 『女性下部尿路症状診療ガイドライン』1)が発刊された. ここでは, "腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence ; SUI)に対する手術療法は, 行動療法や薬物療法の効果が不十分な場合に考慮され, 一般には中等度から重症な場合が適応となるが, 軽症でも運動時や労作時に支障となる場合は, 患者の希望が重視される.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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