特集 女性下部尿路症状診療ガイドライン
病態と疾患
排尿障害プラクティス Vol.22 No.2, 22-29, 2014
中高年女性の下部尿路症状の原因には, 加齢, 妊娠, 出産, 骨盤臓器脱, 神経疾患, 閉経(エストロゲン欠乏)などが関与している. このうち蓄尿症状を呈する病態・疾患として頻度の高いものは, 尿路感染症, 過活動膀胱, 腹圧性尿失禁, 骨盤臓器脱, 間質性膀胱炎などが挙げられる. 一方, 排尿症状の原因となるものには, 子宮癌, 直腸癌手術後の神経因性膀胱, 骨盤臓器脱, 膀胱頸部閉塞, 加齢に伴う排尿筋低活動などがある. 病歴から推定できないものは診断が困難であり, 可能性のある病態に注意しながら, 必要に応じて尿流動態検査などを行う. 特に女性の場合は自他覚的に排尿障害の存在が認識されにくい点に注意が必要である.
「はじめに」女性の下部尿路症状を考える場合, 女性特有の問題である骨盤臓器の解剖学的特徴や性周期, 妊娠出産, 閉経などの関与が大きいことから, 腹圧性尿失禁, 切迫性尿失禁や頻尿などの蓄尿症状が, 一般に最もよく知られており頻度も高い.
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