特集 女性下部尿路症状診療ガイドライン
女性下部尿路症状とその疫学・QOL
排尿障害プラクティス Vol.22 No.2, 16-21, 2014
日本排尿機能学会大規模疫学調査(40歳以上)では, 排尿症状の尿勢低下, 排尿後症状の残尿感が男性で頻度が高かったのに対し, 蓄尿症状の腹圧性尿失禁は女性の頻度が顕著に高かった. 尿失禁の頻度は男性17.6%, 女性43.9%と性差が大きく, 骨盤底脆弱化による腹圧性尿失禁の多さが寄与した. 下部尿路症状の中でも, 蓄尿症状はQOLをより大きく低下させる傾向がある. 男性で最も困る症状は夜間頻尿, 女性では夜間頻尿と腹圧性尿失禁が同等であった. 下部尿路症状の評価には, 妥当性の検証された症状・QOL質問票を用いることが推奨される.
「はじめに」疫学調査は. ある症状・疾患の頻度・年齢分布・危険因子・診療ニーズなどを調べることで, その症状・疾患の医学的・社会的な位置付けを行い, 診療体制を構築する基盤となる. 下部尿路症状(lower urinary tract symptoms ; LUTS)についても上記はあてはまる.
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