腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱に代表される女性骨盤底医学領域における, 尿流動態検査(urodynamic study; UDS)の意義や問題点を概説する. 特に骨盤臓器脱患者に対するUDSに関しては, 検査方法や結果の解釈に統一した見解がなく, 明確なエビデンスが存在しないという状況下で検査がなされている現状があるが, 術後排尿困難や腹圧性尿失禁を予測するための有力なツールとなる期待もある. おのおのの検査法における有用性や問題点を検証し, 女性骨盤底医学領域におけるUDSの位置付けや, より精度の高いUDSを再考する機会となれば幸いである.
「はじめに」近年, 骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse; POP)に対するメッシュ手術が普及し, 治療効果と安全性の面で良好な成績が報告されている1). また, POP患者にしばしば合併する蓄尿障害や尿排出障害も, 外科的治療後は一般に改善傾向であるとされる2).
「Key Words」腹圧性尿失禁, 骨盤臓器脱, 尿流動態検査, de novo SUI