前立腺癌に対する薬物療法の根幹はホルモン療法であるが, そのホルモン療法に今新たな選択肢が加わった. GnRHアンタゴニストのデガレリクスであり, これまでのアゴニストでみられたいくつかの課題が克服され, 今後の進行性前立腺癌に対する治療戦略の一環となることが期待される. デガレリクスの特徴と臨床的意義について概説した.
「はじめに」ホルモン療法(アンドロゲン遮断療法: ADT)が, Hugginsらの報告以来1), 前立腺癌に対する薬物療法において最も重要な位置を占めることは周知の事実である. ホルモン療法では, これまで性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone; GnRH)アゴニストが用いられてきたが, これには課題も残されていた. まず, その薬理学的作用から投与初期にテストステロンの一過性上昇(テストステロンサージ)が起こるため, 進行性または転移性癌で臨床的にフレアアップを呈することがあり, 投与初期に抗アンドロゲン剤の先行投与あるいは併用が必要であった2).
「Key Words」前立腺癌, ホルモン療法, GnRHアンタゴニスト, デガレリクス
「はじめに」ホルモン療法(アンドロゲン遮断療法: ADT)が, Hugginsらの報告以来1), 前立腺癌に対する薬物療法において最も重要な位置を占めることは周知の事実である. ホルモン療法では, これまで性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone; GnRH)アゴニストが用いられてきたが, これには課題も残されていた. まず, その薬理学的作用から投与初期にテストステロンの一過性上昇(テストステロンサージ)が起こるため, 進行性または転移性癌で臨床的にフレアアップを呈することがあり, 投与初期に抗アンドロゲン剤の先行投与あるいは併用が必要であった2).
「Key Words」前立腺癌, ホルモン療法, GnRHアンタゴニスト, デガレリクス