便秘はパーキンソン病に伴う消化管障害として頻度が高いだけでなく, 前駆症状であることも分かってきた. ただし, 便秘に至る要因は非常に多彩なため, 便秘の改善法も一様ではない. 蠕動促進作用のある下剤を用いる場合は, 自覚症状としての腹部不快感や残便感にとらわれず, 便の形状に応じて調整する必要がある.
「はじめに」便秘はパーキンソン病のすべての病期において多くみられる随伴症状であるだけでなく1), 前駆症状であることも知られている2). 一方で便秘に至る要因として, 摂食障害, 胃排出遅延, 吸収障害, 蠕動低下, 直腸肛門機能障害など, さまざまな病態が混在するため(図1), 適切な対処は一様でなく, 治療に難渋することもある. さらに, 便秘や便失禁といった排便障害に関して, 診断や分類が確立していないことも相まって, パーキンソン病における排便障害の治療の知見は非常に限られている.
「Key Words」パーキンソン病, 便秘, ブリストルスケール, アニスムス, 直腸肛門機能障害