パーキンソン病(PD)の排尿障害を排尿機能検査所見の観点から述べた. パーキンソン病自体の排尿障害は, 検査上, 未治療早期例およびウェアリング・オフ現象を伴う経年例ともに, 排尿筋過活動による蓄尿障害と排尿筋収縮不全による軽度の排出障害とが合併した型が主体であった. 一方で, 尿道閉塞による排出障害を来している例も一部存在した. これらの排尿障害の有無は他の臨床症候, 患者背景などと相関を認めなかった. 抗パーキンソン病薬は排尿障害へ影響を及ぼし, 投与後短時間に限っては, 蓄尿障害を悪化し, 排尿障害を改善する作用を有していた.
「はじめに」排尿機能には, 膀胱に尿をためる機能, すなわち蓄尿機能と, 尿を体外へ出す機能, すなわち排出機能とがある. これらは自律神経と体性神経の複雑な支配下にある下部尿路(膀胱と尿道)によって行われている. この下部尿路支配神経系が, 脳, 脊髄, 末梢神経といった部位で傷害を受けると排尿障害が生じる1-3).
「Key Words」排尿障害, パーキンソン病, 尿流動態機能検査, 排尿機能検査, 排尿筋過活動