パーキンソン病における下部尿路症状(LUTS)の頻度は38~71%と報告されている. 蓄尿症状が主な症状であるが, 排尿症状を同時に訴えることもある. LUTSの程度と頻度はパーキンソン病重症度(Hoehn & Yahr stage)と相関して増加し, QOLを著しく障害する. 最も多い症状は夜間頻尿で, 尿意切迫感や頻尿が続いて多い. ウロダイナミクス検査を受けた患者では排尿筋過活動が最も多く, 60%前後に認められる. 排尿筋低活動を呈する症例も16%程度存在する. 病期が進行すると収縮不全を伴う排尿筋過活動や尿道抵抗が亢進する症例が増加するとの指摘もある. 原則として排尿筋-外尿道括約筋協調不全を認めることはない.
「はじめに」排尿障害(下部尿路機能障害)は, パーキンソン病患者に高頻度に認められ, QOLの重大な障害となることが知られている. パーキンソン病において報告される下部尿路症状あるいは下部尿路機能障害の有病率は, パーキンソン病診断の正確さ, 下部尿路機能障害の判定基準, 投薬の影響, 年齢の影響など多くの要素に左右される.
「Key Words」パーキンソン病, 排尿障害, 下部尿路症状, 疫学