2008年に刊行された『男性下部尿路症状診療ガイドライン』, および2009年に刊行された『夜間頻尿診療ガイドライン』には, 前立腺肥大症と関連する薬物療法の記述を認めるが, その後, 新規適応薬剤である5α還元酵素阻害薬のデュタステリドの登場や, 既存の適応治療薬の新知見・再評価, 前立腺肥大症に適応を有する薬剤同士の併用治療, 適応のない抗コリン薬などとの併用療法などの新知見が登場してきた. 本稿においては, 泌尿器科医にとって日常診療において最も身近な疾患である前立腺肥大症の薬物療法について, 『前立腺肥大症診療ガイドライン2011年版』においてこれまでのガイドラインから変更・追記された部分を中心として概説した. 記述の中の推奨度を参考に, 薬物の選択と至適治療をご判断いただければ幸いである.
「はじめに」わが国において最初に『前立腺肥大症診療ガイドライン』が刊行されてから約10年が経過した.
「Key Words」前立腺肥大症, 薬物療法, ガイドライン