1993年に塩酸タムスロシンが前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬(いわゆるuroselective α1-blocker)として登場して以来,前立腺肥大症薬物治療の第一選択はα1遮断薬である.しかし,前立腺肥大症とは本来組織学的な状態を示すものであり,最近の疫学研究によりその自然史,すなわち緩徐ではあるが進行する病態が明らかにされた.薬物療法の長期成績を向上させるには,尿閉や手術に移行する症例をいかに減らすかが鍵になる.5αリダクターゼ阻害薬は前立腺体積30ml以上の症例において,これらのイベントリスクを減少させ,さらにα1遮断薬との併用療法で中長期における症状改善効果を向上させる.