前立腺肥大症は進行性の疾患であり,経時的に症状の増悪,前立腺腫の増大,急性尿閉の発症といった事象を呈する.前立腺肥大症に対する初期治療としてα遮断薬が使用されるが,2年程度では病状進行を抑制するが長期的には抑制効果は減弱していくことも分かってきた.進行の予測因子としては,治療開始時の前立腺体積およびPSA値が最も有効な指標と考えられる.また初期治療に反応が悪い群も手術移行の可能性が高いとされる.前立腺体積35ml以上PSA1.5ng/ml以上,α1遮断薬での初期治療で反応が悪い患者は,5αリダクターゼ阻害薬の併用や手術介入を考慮すべきと思われる.逆にα1遮断薬での長期投与が期待できるのは前立腺体積が30ml以下,PSA1.5ng/ml以下,残尿30ml以下で治療に反応性がよい患者であると考えられる.
全文記事
BPHの自然史を踏まえた治療ストラテジー
アドレナリンα₁受容体遮断薬の役割
掲載誌
排尿障害プラクティス
Vol.19 No.4 35-40,
2011
著者名
横山光彦
/
永井敦
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
泌尿器
診療科目
泌尿器科
媒体
排尿障害プラクティス
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。