はじめに  MTOPS研究1),CombAT研究2)で代表されるように,臨床的な前立腺肥大症(BPH)に対する5α還元酵素阻害薬(5ARDI)の有用性も今や明らかであるといえる.欧米ではこのような大規模第Ⅲ相試験が行われて,5ARDIとα1受容体遮断薬との併用に臨床上大きな意義があることも示されてきた.一方,わが国でも欧米に遅れてデュタステリドが保険適応となった.その後約2年が経過し,この薬剤の使用に関するニュアンスもようやく判明してきたのではないかと思われる.この薬剤に関してはすでに本誌上で報告されている3).その後,わが国での臨床試験によりデュタステリドの有効性,さらには排尿症状はもちろん蓄尿症状に対する効果なども明らかになった4-6).そこで,ここでは日本人の前立腺容積の自然史なども踏まえ,デュタステリドの臨床効果を再確認するとともに,欧米での長期投与の結果も検討する.さらに,今後に残された臨床的な問題点にも触れてみたい.