はじめに
泌尿器科領域において腹腔鏡手術が一般化するようになったのは精索静脈瘤に対する高位結紮術や骨盤内リンパ節郭清術からであり,これらの術式では拡大視野のメリットを感じていたものの,手術解剖に関して大きなメリットを感じることは少なかった.その後,腎や副腎疾患に対する腹腔鏡手術が一般化し,今では特に大きな腫瘍や浸潤傾向のある腫瘍のみに開放手術が行われる状況となっているが,同時進行的に映像技術が進歩し腹腔鏡カメラ自体がハイビジョン化や3D化され,さらに画像を映し出すモニターも高画質,薄型で大型化した.現在の高画質画像は,過去に開放手術において拡大鏡を装着して得られた「今まで見えなかった膜が見える」という感動を凌駕するもので,骨盤内の解剖に関する新知見が次々に報告され1),また腎周囲の手術解剖においても従来の手術書にある記載以上の知識が一般化している2).
外科とは違い泌尿器科では経腹膜到達法のみならず後腹膜到達法による腹腔鏡手術が多く行われており,たとえば腎摘除術でも到達法の違いによって構造物の見え方が微妙に違うことはよく経験されることと思われる.ここでは各到達法により腎周囲の構造がどのように見えるかを主に根治的腎摘除術の術中写真を用いて解説したい.
全文記事
内視鏡で見えてきた解剖
第2回 内視鏡で見た腎周囲の筋膜解剖
掲載誌
排尿障害プラクティス
Vol.19 No.2 53-63,
2011
著者名
川端岳
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
腎臓
/
泌尿器
診療科目
腎臓内科
/
泌尿器科
/
手術・救急
媒体
排尿障害プラクティス
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。