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排尿障害の私の治療1―夜間頻尿・尿失禁―

神経疾患における夜間頻尿と尿失禁

内山智之山本達也柳澤充山口千晴榊原隆次服部孝道桑原聡

排尿障害プラクティス Vol.19 No.2, 33-39, 2011

 神経疾患による排尿障害の病態は複雑かつ難解であるほか,経時的に変化することがあるため,病状および原因の把握や処置に難渋する場合も少なくない.また原因が,主となる神経疾患だけでなく,既往または合併している神経疾患によるほか,男性では泌尿器科疾患,女性では産婦人科疾患の合併による場合もある.さらに,循環器や呼吸器,内分泌・代謝関連の内科疾患,精神疾患の合併症や精神状態,睡眠障害,食生活・嗜好,気候,環境などの影響のほか,内服薬やその他の治療法の影響を受けている場合もある.そこで排尿障害診療では,排尿障害を全身疾患の1症状として捉え,科を超えたマネージメントを行う必要がある.

Key Words
神経因性膀胱,夜間頻尿,夜間多尿,尿失禁,機能性排尿障害

はじめに

 神経疾患では排尿障害を来すことが多い.このため日常診療上で神経疾患患者の排尿障害に出会う機会が少なくない.なかには主症状とは別に,排尿症状によってQOLが大きく損なわれている症例も存在する.そこで排尿障害に対する適切な処置が重要となる.
 本稿では,神経疾患患者の夜間頻尿と尿失禁の原因または発症機序を提示するとともに,どのようにアプローチし,マネージメントを行うかについて,経験をふまえて概説する.

Ⅰ 神経疾患による夜間頻尿

1 原因または発症機序

 夜間頻尿の発症機序として,膀胱容量の減少および夜間多尿があるほか,いくつかの病態の複合的な関与が考えられている(図1).

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