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排尿障害の私の治療1―夜間頻尿・尿失禁―

夜間頻尿と尿失禁の治療

野村昌良

排尿障害プラクティス Vol.19 No.2, 27-32, 2011

 夜間頻尿と尿失禁は泌尿器科の日常臨床でも非常に多く遭遇する疾患であり,これらは患者のQOLに直結する重要な問題である.これらの病態は単純なものではなく,さまざまな要因が関与する複雑なものである.したがって,これらを的確に治療するためには,病態を正確に評価することが不可欠である.夜間頻尿に関する診療ガイドラインができたこと,腹圧性尿失禁に対して低侵襲な手術療法が可能になったこと,副作用が抑えられた新規抗コリン薬が使用できるようになったことから,治療選択肢も増えている.本稿では夜間頻尿と尿失禁に対してわれわれが実際に行っている治療法,工夫などを解説する.今後の日常診療の参考になれば幸いである.

Key Words
夜間多尿,腹圧性尿失禁,切迫性尿失禁,睡眠障害

Ⅰ 夜間頻尿に対する治療

1 夜間頻尿とは

 夜間頻尿とは夜間に排尿のために1回以上起きなければならないという訴えであり,そのことにより困っている状態とされている1).臨床的には2回以上になるとQOLに障害を起こしやすくなるために,2回以上が治療対象となることが多い.夜間頻尿の原因は①膀胱容量の減少および②夜間尿量の増加である.臨床的には多尿,夜間多尿,睡眠障害,膀胱蓄尿障害,加齢現象などのさまざまな要因が関与する病態である.夜間頻尿の原因のひとつとして膀胱容量の減少を来す疾患である前立腺肥大症,過活動膀胱,間質性膀胱炎,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の診断・治療は成書に譲り,本稿では多尿および夜間多尿の精査・治療を中心に実際の治療や治療上の工夫を交えて解説する.

2 夜間頻尿診療の実際

 2009年に日本排尿機能学会により,夜間頻尿診療ガイドラインが制定され診療アルゴリズムが提唱された1).その診療アルゴリズムによると,夜間頻尿を訴える患者が来院した場合,問診,アンケート,尿検査などに基づき初期評価を行うこととなっている.初期評価により①夜間頻尿のみのもの,②夜間頻尿と昼間頻尿だけで,その他の下部尿路症状を伴わないもの,③夜間頻尿と昼間頻尿にその他の下部尿路症状を伴うものの3群に分類する.①,②は一般医家でも対応可能なことが多いが,③は膀胱蓄尿障害に対する対応が必要となるために,泌尿器科専門医による対応が必要なことが多い.
 ①,②の場合は排尿日誌をつけてもらい多尿または夜間多尿の有無を調べる.夜間多尿がみられない場合には睡眠障害,膀胱蓄尿障害などに対する精査・治療が必要になる.③の下部尿路症状を伴うものに対しては国際前立腺スコア,過活動膀胱症状質問票なども用いて前立腺肥大症,過活動膀胱などを精査し,それぞれに診断に基づいた治療を行う.また尿意亢進,膀胱部の不快感,膀胱部痛などが認められるときには間質性膀胱炎および慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群などに対する精査と治療を行うとされている.

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