<< 一覧に戻る

排尿障害の私の治療1―夜間頻尿・尿失禁―

治療に難渋した夜間頻尿・尿失禁の2症例

武井実根雄

排尿障害プラクティス Vol.19 No.2, 7-13, 2011

 治療に難渋した夜間頻尿症例と腹圧性尿失禁症例を報告する.症例1は神経因性膀胱と夜間多尿の合併例で抗コリン薬や抗利尿ホルモン製剤の投与でもコントロールできず,結局夜間留置で対応することになった症例.2例目は軽度の腹圧性尿失禁に対しTOT手術施行したところ,術後排尿困難を来したことを契機に精神科的症状が前面に出てきて対応に苦慮し,精神科医の協力を得てメッシュのテープをカットし,排尿が改善することで問題解決に至った症例である.いずれも日常的に遭遇する可能性のある病態であるが,著者自身の反省点も踏まえて報告する.

Key Words
夜間頻尿,夜間多尿,排尿筋過活動,腹圧性尿失禁,TOT手術

はじめに

 夜間頻尿や尿失禁は日常よく遭遇する症状であるが,治療が困難な症例に遭遇する機会もその分多くなると考えられる.著者の施設では排尿記録や尿流,残尿はもとより,尿流動態検査なども積極的に施行して診断治療にあたっているが,病態が正確に把握できたからといって治療もうまくいくとは限らない.今回は夜間多尿を合併した神経因性膀胱の女性症例と,腹圧性尿失禁に対しTOT手術施行し,術後の排尿困難から精神科的問題が起こり治療に難渋した症例を報告する.

症例1:夜間多尿を合併した神経因性膀胱例

1 症例

患者:70歳女性.
主訴:切迫性尿失禁,夜間頻尿.
既往歴:25年前,前脊髄動脈症候群,以後神経因性膀胱にて自己導尿中.
家族歴:特記事項なし.
現病歴:25年前に前脊髄動脈症候群となり以後神経因性膀胱にて抗コリン薬内服と自己導尿にて管理していたが,夜間は3回以上トイレに起き,我慢すると漏れる状態.
現症:下部尿路機能障害を除いては,四肢麻痺や排便障害はない.
検査成績:尿中白血球1+.血液一般,生化学検査にて異常なし.
尿流動態検査所見(図1):初発尿意量112mlにて排尿筋過活動あり.随意排尿は不能.最大尿道閉鎖圧38cmH2O.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る