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尿路・腎疾患における超音波診断

前立腺の膀胱内突出度(経腹的超音波法)と排尿障害

尾上篤志秋山隆弘

排尿障害プラクティス Vol.15 No.1, 69-76, 2007

「はじめに」 前立腺肥大症は30~40歳男性の8%, 80~90歳では90%に発生しているとされ1), 男性高齢者において最も有病率が高い疾患であり, 今後高齢化社会を迎えその患者数はますます増加すると考えられる. しかし, 本症の病態を考えるとき, 前立腺肥大症とは前立腺腫の増大による尿道の物理的圧排による, 排尿困難・残尿など排尿障害だけでなく, 頻尿, 尿意切迫など膀胱刺激症状(蓄尿障害)などさまざまな症状を呈する. さらに肥大した腺腫の大きさと排尿障害の程度が必ずしも一致しないことが, 下部尿路障害を考えるうえでその病態の評価を複雑にしている. 本稿では経腹的超音波法から測定される前立腺の膀胱内突出という形態的変化が, 腺腫の大きさとは別の因子として下部尿路の通過障害にいかに影響し, 形態と機能の解離をいかに説明できるかについて論じたい. 「経腹的超音波法による前立腺の描出」 経腹的超音波法は前立腺の断面の形状や内部エコーの解像度において経直腸的超音波法よりも劣り, 特に癌の一次スクリーニングには適さないと考えられ2), 前立腺疾患の画像判定は経直腸的超音波法が現在においてもgold standardであることはいうまでもない. しかしながら, 前立腺の大きさと膀胱頸部・膀胱底の形状の評価に限定すれば経腹的超音波法は簡便で非侵襲的検査としての診断価値がある. 前立腺の形態は正常ではおむすび型をしており, 肥大に伴い形状は円形に近づくことが知られているが3), このような変化は経腹的断層法でも十分観察が可能である4)(図1). さらに肥大した前立腺像を図2に示す. 横断像, 縦断像ともに腫大したTZ領域はPZ領域に比較し, ややエコーレベルが低く描出され, さらに前立腺の膀胱と接する領域は, 膀胱内に溜まった尿がよいacoustic windowとなり, 内尿道口の形態など細かな部分まで描出可能である.

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